SOHO活用の説明会

 

自分で歩いて探すことも大切

私たちの空き町家の有効活用が報道されてからというもの、問い合わせや見学の申し込みが殺到し、説明会をしようということになった経緯は、前に話したとおりだ。
そこで、問い合わせの人を対象に、説明会を開きますといったところ、マスコミがそれをニュースにするという。有り難いことだが、説明会のタイトルとか、団体名とかないんですか?と尋ねられ、とっさに思いついたのが、「西陣活性化実顕地をつくる会」だったのだ。
空き町家や空き工場の有効利用説明会の名前が、西陣活性化うんぬんとは、よくいったものだが、西陣織りとは関係がない部分での活性化という意味であった。まだ、一軒しか入居できていないし、どうなるものか、さっぱり予想ができないのに、西陣の活性化とは、偉そうなことを言ったものだ。ちょっと恥ずかしいような大きな名前だった
実顕地というのは、実際に顕された地ということで、真理が、実際に具現された場所を示す仏教系の言葉だ。浄土や天国みたいな意味だ。わかりやすく言えば、「西陣活性化天国をつくる会」だ。自分の夢を実現したニューカマーにとって、そこは天国に違いない。
わたしが僧侶なので、そういう難しい言葉を使ったのだが、当時は、なんでも社名を横文字にすることが流行っていた。いったい何の会社かわからないような横文字が氾濫していたので、逆効果をねらって、がちがちの日本語の羅列でどうだ!という具合で名付けた。しかし、この実顕地という言葉が後々、紛らわしい誤解を生み、電話取材などでは、漢字の説明にも時間がかかるというので、今では、ネットワーク西陣という言い方をしているし、ウェブで発信するようになってからは、町家倶楽部ネットワークということの方が多くなった。一般には、どれも同じだと考えてくれればいい。
このネットワーク西陣というのは、第一号の入居者である小針剛を筆頭に、入居してきたニューカマーの集まりである。しかし、集団ではない。つまり、決まった会則も会合もないに等しい、緩やかなネットワークなのである。これがいつしか、地元の人も参加して、わいわいがやがや賑やかな事をするようになった。
説明会では、自分で町を歩いて探すことを提案したものだった。今でも、そうして、自分たちで探そうとする積極的な人が夢を実現している。町家倶楽部はそのお手伝いをしているにすぎない。
ちょうどタイミングがいいのだが、この三月七日にも西陣の妙蓮寺を会場にして、空き町家をITなどのSOHOに活用している例や、もうすぐ長屋町家全体を改装し、入居者を公募する新しいプロジェクトの説明会を行う予定になっている。手前味噌だが、「町家倶楽部ネットワーク」(http://www.machiya.or.jp/)のトップページに案内が掲載されているので、そこから申し込んでもらえればと思っている。ホームページを見られない方は、知人や友人に頼んでみよう。これもITに親しむ第一歩。